気が遠くなる程の細かい工程。
大島紬ができるまで。
今日の大島紬の製織法は、目覚ましい技術開発により進展してきていますが、それでも手間のかかる作業が多く、完成した反物の厳しい検査を受けるまで、下の図のように大きく分けても三十数工程という複雑な手作業によって作り上げられます。完成した反物は厳しい検査を受け、合格した商品には商標が貼られ市場で取引されます。
世界に類を見ない繊細な織物と言われる大島紬は、二度織られます。一度目は「締機(しめばた)」で文様になる糸を硬く織締めする作業、二度目は染めた糸を正確に柄と合わせながら織り上げる「機織(はたおり)」の作業です。
締機は強い力を必要とすることから主に男性が、繊細な経糸と緯糸一本ずつ合わせて織る機織は女性が行っています。
現在、機織は7〜8センチメートルほど織ると、経糸をゆるめ、経糸の一本一本を針先で調整して、絣の目を正確に合わせます。
目の細かい絣は一日にようやく50〜80センチ。さらに精巧なものは30〜40センチメートルしか織れないほど。
大島紬は実に手間のかかる根気を要する作業工程を続け、丹精込めて織り上げる、なんとも気の遠くなりそうな細かい作業なのです。
■引用・参考文献:
「大島紬の源流を探る」 南方新社/著:西之園君子